クラウドからエッジまでのシームレスな連携におけるAIの進化 - パート1

Sep 16, 2024 Linux

クラウドからエッジまでの連続体にわたるAIの普及により、エッジデバイスとデータセンターの処理能力、ストレージ、通信能力の格差が拡大しています。人工知能(AI)や機械学習アプリケーションがさらにデータ集約的になり、データセンターではより複雑な処理を行い、エッジデバイスは処理の増加への対応に課題を抱えています。

AIとクラウドおよびエッジコンピューティングの融合は、ビジネスや産業のあり方を再構築しています。この進化の最前線には、クラウドからエッジ環境へのAIオーケストレーションの成長があります。この新たなパラダイムは、分散コンピューティングとインテリジェントアルゴリズムの力を活用して、プロセスを最適化し、意思決定を強化し、データが生成される場所により近いところでリアルタイムの状況把握が可能になります。

進化を続ける人工知能の分野では、2つの主要なパラダイムが浮上しています。エッジAIとクラウドAIです。クラウドAIとは、インターネットを通じてアクセスするデータセンターにAIアルゴリズムとモデルをデプロイすることを指します。クラウドベースのシステムは、その膨大な演算能力とストレージ機能を持ち、複雑な機械学習モデルのトレーニングに最適です。これに対し、エッジAIでは、AIアルゴリズムをデバイス上、またはデータの生成元により近いネットワークの「エッジ」に直接デプロイします。このアプローチにより、最小限の待ち時間でリアルタイムの処理と意思決定が可能になります。


図1: Cloud-Edge AI

エッジAI vs. クラウドAI

エッジAIとクラウドAIは、人工知能のデプロイメントにおける2つの異なるアプローチであり、それぞれに独自の利点、ユースケース、制限があります。両者の主な違いは以下の通りです。



エッジAIとクラウドAIはそれぞれ独自の強みを持っており、ハイブリッドアーキテクチャでは互いを補完し合うことも多々あります。企業は、AIのデプロイメントに最適なアプローチを決定するために、レイテンシ要件、データ量、プライバシーの考慮、アプリケーションの重要度など、自社の具体的なニーズを評価する必要があります。

エッジAIとクラウドAIのデプロイメントを検討する際には、各アプローチに関連するさまざまなトレードオフを考慮する必要があります。考慮すべき事項には、コスト、信頼性、レイテンシ、ネットワーク通信、データのプライバシー、電力、ストレージなどがあります。

クラウドAIは、拡張性と大規模なデータ処理能力から恩恵を受けています。しかし、レイテンシの問題やインターネット接続への依存により、しばしば障害が発生します。エッジAIは、データをローカルに保持することでレイテンシを低減し、プライバシーを強化しますが、エッジデバイスの計算能力およびストレージ容量によりその能力は制限されます。さらに、エッジAIは、デバイスの分散型という性質上、より高度な管理が必要になる場合があります。

大量のデータ収集と信頼性を実現することによって、エッジコンピューティングは、クラウドのストレージ容量と処理能力を飛躍させます。そして、お客様はアプリケーションやIoTデバイスを迅速かつ効率的に運用できます。お客様は、商品やサービスの改善に役立つ貴重な分析データを犠牲にすることなく、イノベーションを実現することができます。

ウインドリバーのAIワークロード向けソリューション

ウインドリバーのeLxr Proは、エッジにおけるAIワークロードのデプロイメントと管理を最適化するよう設計された包括的なエッジAIソリューションです。エッジコンピューティング環境特有の課題に対応し、AIモデルの開発、トレーニング、デプロイメントのための堅牢なツールを提供します。

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次回のパート2では、さまざまな業界におけるエッジクラウドAIワークロードについてと、AIおよびAIオーケストレーションのワークロードをサポートする際に生じる課題に対処する方法について説明します。

またパート 3 では、エッジ AI とクラウド AI ワークロードの導入におけるトレードオフと、AI および AI オーケストレーションをサポートする際に生じる課題に対処する方法について説明する予定です。