2023年10月9日 – OrangeとVodafoneは、ルーマニアのブカレスト郊外の農村地域において、Open RANテクノロジーを用いた共有の商用ネットワークサイトで4G通話の初のパイロット運用に成功したことを発表しました。
OrangeとVodafoneは今年2月、共にモバイルネットワークを有する欧州の農村地域においてRANを共有したオープンな無線アクセスネットワーク(Open RAN)を構築すると発表しており、今回の技術面におけるマイルストーン到達はそれに基づいたものです。
Open RANテクノロジーはソフトウェアの機能とハードウェアの機能を分離します。そのため、携帯電話基地局に新たな機能やサービスを搭載するアップグレード作業を遠隔で迅速に低コストで行うことができるほか、ネットワーク自動化の向上を実現でき、現場で直接作業する必要性が減ります。また、RANを共有するため、将来的に各通信事業者は共通のクラウドベースインフラストラクチャで独自のvRANソフトウェアを運用できるようになり、ネットワーク費用を分担しつつ、事業者としての独自性と差別化を強化することができます。
OrangeとVodafoneは商用トラフィックを用いた今回のパイロット運用において、個別に選んだ主要なベンダーパートナーと協業し、Open RANによる標準化インタフェースを用いた仮想化無線アクセスネットワーク(vRAN)においてソフトウェアに遠隔で変更を加えられるなどさまざまなメリットがあることを実証しました。
Orangeがフランスにある自社のOpen RANラボで成功した統合試験の結果と、Vodafone UKがOpen RAN導入で得た経験を生かし、両社はSamsungの商用vRANソリューション、RANソフトウェアを展開・拡張するためのウインドリバーのハードウェア抽象化レイヤー、Dell PowerEdgeサーバなど、同じスタックを使用しています。
農村地域における共有Open RANサイトで4G通話が成功に終わったことを受けて、OrangeとVodafoneは、ラボにおける試験ではすでに成功済みの2G通話を近々導入したのち、5Gを導入する予定です。
2G無線ソフトウェアが仮想化Open RAN環境に完全統合されるのは欧州ではこれが初めてです。デプロイが簡素化され、運用で複雑なオーバーレイソリューションが不要になります。
Orangeの最高技術革新責任者、ブルーノ・ゼルビブ氏は次のように述べています。「Orangeにとって初となった今回のOpen RANパイロット運用は、Open RANがブラウンフィールドネットワークに展開できるまでに成熟したことを示す重要なマイルストーンと言えます。グループ全体での大規模な展開が可能になり、完全に自動化されたインテリジェントなネットワークの構築が容易になります」
Vodafoneの最高ネットワーク責任者、アルベルト・リペピ氏は次のように述べています。「VodafoneはOrangeと共に、欧州全土で農村地域にモバイルネットワークを拡大するブループリントとなるようなモデルを開発してきました。Open RANを導入すれば、ハードウェアコンポーネントを共有して費用を削減できるうえに、各社がクラウド上で独自にRANソフトウェアを管理して、差別化したサービスを顧客に提供できるようになります」
Open RANには従来のネットワーク共有と比べて大きなメリットがあります。オープンなvRANを用い、ソフトウェアとハードウェアを分離することで、OrangeとVodafoneはそれぞれ、新たな無線拠点の追加や既存の無線拠点の改善をより柔軟に行えるようになり、費用とエネルギー消費を抑えることができます。また、通信事業者は同じハードウェア上で異なるソフトウェアコンテナを実行し、運用の差別化を図り、独自性を発揮できるようになります。
今回の発表により、欧州全域でモバイルネットワークにOpen RAN技術を導入していくOrangeとVodafone、それぞれの取り組みが強化され、ベンダーサプライチェーンの強靭化・再活性化につながるでしょう。また、Open RANの実現に向けたOrangeとVodafoneの取り組みは、2030年までにすべての居住地域で5Gを提供することを目指す欧州委員会の目標達成の後押しにもなっています。
Vodafoneについて
Vodafoneは欧州・アフリカ地域で事業展開する大手通信会社です。テクノロジーを用いて生活の質を向上させ、重要産業をデジタル化し、包摂的で持続可能なデジタル社会を実現することで、より良い未来につなげていくことを目指しています。
17か国で3億人以上のユーザに携帯・固定通信サービスを提供し、46か国以上でモバイルネットワーク事業者と提携を結んでいます。モノのインターネット(IoT)分野でも世界をリードしており、接続しているデバイスやプラットフォームは1億6,700万台以上に上ります。また、アフリカ最大の金融テクノロジープラットフォームであるVodacom Financial ServicesとM-Pesaによって、7か国で7,100万人以上のユーザにサービスを提供しています。
Vodafoneは、2040年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを達成すべく環境への影響を減らす取り組みを行うとともに、顧客の温室効果ガス排出量を2030年までに3億5,000万トン削減する支援も行っています。デバイスの廃棄を減らし、自社のネットワークで生じる廃棄物を2025年までにすべて再利用、再販またはリサイクルする取り組みを進めています。
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