業界をリードするプロセッサアーキテクチャとは?
CISCアーキテクチャ
CISC(Complex Instruction Set Computer)は、複雑な命令セットと高いコード密度で知られるプロセッサです。CISCプロセッサは、さまざまなタスクを実行できる高度な命令セットを持ち、その結果、コード密度が高く、メモリを効率的に使用できます。
また、特にゲームやビデオ編集など、高度な並列処理が求められるアプリケーションで高い性能を発揮することで知られています。CISCプロセッサはまた、さまざまなソフトウェアと互換性があるため、パソコンやノートパソコンで多く使用されています。
x86/Intel
インテル®はマイクロプロセッサのトップメーカーであり、コンピュータ業界で最も知名度の高い企業のひとつであります。パソコン、ノートパソコン、サーバー、組込みシステム向けの幅広いプロセッサを開発しています。
x86は、ほとんどのパソコンやノートパソコンで使われているインテルのプロセッサアーキテクチャです。1970年代にインテルが初めて開発し、その後AMDなど他のメーカーにも採用されています。CISCアーキテクチャであり、コード密度が高く、さまざまなタスクを実行できる高度な命令セットを持っています。
高い性能と幅広いソフトウェアとの互換性で知られており、パソコンやノートパソコン広く使われています。また、Windows、Linux、macOSなど、さまざまなOSと互換性があります。x86プロセッサーは、組込みシステムやサーバーに搭載されてますが、Arm®などの他のアーキテクチャに比べ、消費電力や発熱量が大きいとされています。
x86アーキテクチャは高い人気を誇っていますが、RISCやArmといったアーキテクチャの台頭により、その地位は揺らいでいます。インテルは、IoTやモバイル機器向けのArmをベースとした、他のプロセッサアーキテクチャも開発しています。インテルプロセッサは、高性能、電力効率、多くのソフトウェアやオペレーティングシステムとの互換性で知られています。
RISCアーキテクチャ
RISC(Reduced Instruction Set Computer)は、CISCプロセッサーに比べてシンプルな命令セットを特徴とするプロセッサです。また、高速な実行と効率的な電力利用で知られており、サーバー、スーパーコンピューター、組込みシステムなどのコンピューティングアプリケーションに適してます。
RISCプロセッサは、複数のタスクを同時に処理することにより、システムの効率的かつ効果的な制御を可能にすることでも知られています。Arm、PowerPC、MIPS、TriCoreなど、多くのプロセッサアーキテクチャはRISCアーキテクチャに基づいています。
Arm
Arm(Advanced RISC Machine)は、スマートフォン、タブレット、その他のモバイル機器やIoT機器で一般的に使用されているプロセッサ・アーキテクチャです。RISCアーキテクチャであるため、命令セットが小さくシンプルであり、低消費電力と小型化を実現しています。Armアーキテクチャは、最小限の消費電力で高性能を実現するように設計されているため、バッテリー寿命が限られている携帯機器に適しています。
また、多くの組込みシステムやIoTデバイスにも使用されています。低消費電力という特性から、電力効率が重視されるサーバーやデータセンターにも適しています。
さらに、Armアーキテクチャはライセンス権を持っており、他社はそのライセンスを取得することで、自社の設計・製造の基盤として使用することができます。そのため、Armアーキテクチャは広く利用されています。クアルコム、サムスン、アップルなどのメーカーは、Armアーキテクチャをベースにプロセッサを設計・製造しています。
PowerPC
PowerPCは、1990年代初めにIBM、アップル、モトローラの3社のパートナーシップによって開発されました。RISCアーキテクチャをベースとし、パーソナルコンピュータ、サーバー、組込みシステムなど、さまざまなコンピューティングデバイスで使用される高性能プロセッサとして設計されました。
PowerPCプロセッサは、1990年代から2000年代初頭にかけてアップル社のマッキントッシュ・コンピュータで特に人気があり、一部のゲーム機やその他の家電製品にも使われていました。また、その高性能とエネルギー効率で知られていますが、Arm、x86、その他のアーキテクチャの台頭により、近年では人気を失っています。
TriCore
TriCoreは、ドイツの半導体メーカーであるインフィニオン・テクノロジーズAGによって開発されました。マルチコア、ならびにマルチスレッド・プロセッサアーキテクチャで、パフォーマンスや効率性の向上につながる、同時に命令を実行できる複数のプロセッシング・ユニット(コア)を持ちます。さらに、内蔵の安全メカニズムにより、安全な動作をサポートします。
TriCoreアーキテクチャは、自動車制御システム、産業機器用制御システム、通信インフラストラクチャなどの組込みシステムや産業オートメーションアプリケーション向けに設計されました。TriCoreプロセッサ、高性能とリアルタイム機能、および複数のタスクを同時に処理できることで知られています。高度な並列処理とディターミニスティックな動作を必要とするアプリケーションに適しています。
RH850
マイクロコントローラ(MCU)のRH850ファミリーは、日本の半導体メーカーであるルネサスによって開発されました。マルチコア、マルチスレッドのTriCoreアーキテクチャをベースにしています。主に、エンジンやトランスミッションの制御、先進運転支援システム(ADAS)、インフォテインメント・システムなどの自動車制御システムでの使用を目的としています。
RH850 MCUは、高度な統合性やエラー検出・修正などの高い安全機能を備えており、自動車業界におけるセーフティクリティカルなアプリケーションに適しています。さらに、高い性能と演算能力を備えているため、複数のタスクを同時に処理し、システムを効果的かつ効率的に制御することができます。
GTM IP
BoschのGTM IPは、業務用および産業機器アプリケーション向けに設計されたネットワークインターカムシステムです。エントリーポイント、セキュリティオフィス、生産現場など、さまざまなステーション間の通信と制御を可能にします。このシステムの特長は、高品質の音声と、屋外や過酷な環境に適した耐久性と耐候性に優れた設計です。また、バックグラウンドノイズの抑制、コール転送、コールキューイングなどの高度な機能も備えています。柔軟性、信頼性、拡張性に優れたGTM IPは、さまざまな業界のセキュリティおよび通信ニーズに対応する人気の高い製品です。
MIPS
MIPS(Microprocessor without Interlocked Pipeline Stages)は、もともとMIPS Computer Systems社(現MIPS社)によって開発されたRISCプロセッサアーキテクチャです。高性能コンピューティングのために設計され、パーソナルコンピュータ、サーバー、モバイル機器、組込みシステム、その他の機器に使用されてきました。MIPSプロセッサは高性能と低消費電力で知られ、携帯機器や組込みシステムに適しています。
また、モジュール式であるため、さまざまなアプリケーションの特定の要件に合わせて容易にカスタマイズすることができます。MIPSプロセッサは過去に広く使われていましたが、Armやx86といった他のプロセッサアーキテクチャの台頭により、その人気は時間の経過とともに低下しています。
ColdFire
ColdFireは、1990年代にフリースケール・セミコンダクタ社(現NXPセミコンダクターズ)が開発したマイクロコントローラ(MCU)アーキテクチャです。元々はモトローラが開発したRISCアーキテクチャである68kアーキテクチャをベースにしています。ColdFire MCUは、産業用制御機器、民生用電子機器、通信など、幅広い組込みシステムでの使用を目的としています。
ColdFire MCUは、高性能と低消費電力で知られ、プログラミングとデバッグが容易であることも特長です。家電製品、車載システム、産業用制御機器、ネットワーク機器などに採用されています。
ColdFireアーキテクチャーは現在は開発されておらず、レガシー製品とみなされていますが、EOLを迎えていない一部の機器ではまだ使用されています。
ウインドリバーのアプローチ
Wind River Diab Compiler
コンパイラは、開発者が使用するソースコードを、さまざまなプロセッサに特化したマシンコードに変換します。Wind River®Diab Compilerは、主要なプロセッサアーキテクチャを
サポートしており、アプリケーションのパフォーマンスを向上させ、メモリフットプリントを削減し、組込みシステム向けの高品質でスタンダードに準拠したオブジェクトコードを生成します。
ウインドリバーには、航空宇宙・防衛から自動車、メディカル、産業機器に至るまで、認証を必要とするさまざまな業界のミッションクリティカルなシステムのソフトウェアとツールを提供してきた長い歴史があります。コンパイラにおける25年以上の経験と、何億台というデバイスへの導入実績をもつ、受賞歴のあるウインドリバーのグローバルサポート部門がお客様をサポートします。
» ソフトウェア・コンパイラの詳細はこちら » Diab Compilerの詳細はこちらDiab Compilerは、TÜV SÜD(テュフズード)から安全関連ソフトウェア開発の認定を受けています。
Diab Compilerの特長
仕様 | 機能 |
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対応するプロセッサアーキテクチャ
単一のツールチェーンを、複数のアーキテクチャで使用することにより効率化を実現します。.
Diab Compiler 5.9.X (Proprietary)
- PowerPC – E500, VLE, SPE, LSP
- RH850 – G3M, G3MH, G3K, G3KH, G4MH
- TriCore AURIX – TC2xxx, TC3XXX, TC4XX, TC1.8x
- Bosch GTM IP – MCS (3.1.5.1)
- Arm*
Diab Compiler 7.X (LLVM)
- Arm
- Cortex-A/R/M
- Arm/Thumb 2
- Armv7-A/R/M
- Armv8-A/R
- AArch32
- AArch64
*新しいArmアーキテクチャのバリアントはDiab Compiler 7.xのみに追加。5.9.xでは、現在のバリアントに対する保守・サポートをアクティブに実施。
図1. Diab Compilerが対応するプロセッサ・アーキテクチャ
VxWorks
VxWorks® は低レイテンシと最小ジッタを実現するディターミニスティックかつプリエンプティブな優先度ベースのRTOSです。将来のアップグレードを考慮したアーキテクチャを基盤としているため、変化する市場ニーズや技術の進化に柔軟に対応できます。.
Intel、Arm、Power、RISC-Vアーキテクチャの32ビット・64ビットのマルチコアプロセッサを包括的にサポートします。C++17、Boost、POSIX、Rust、Python、pandasなどをサポートする唯一のRTOSであり、エッジに最適化された OCI 準拠のコンテナエンジンをサポートしています。これにより、好きな言語、ツール、テクノロジーを使用して、最も重要な分野でイノベーションを起こすことができます。
優れた性能
- 信頼性とパフォーマンス:VxWorksは信頼性が不可欠な分野において、そのシステムが求める最高水準のパフォーマンスを提供します。地球上での活躍はもちろんのこと、VxWorksは火星において初めて稼働したRTOSです。
- セキュリティ:VxWorksは接続された世界において、デバイス、データ、知的財産を効果的かつ効率的に保護することができます。VxWorksと、Wind River Security Services、当社の開発プロセスとの組み合わせにより、あらゆる業界で定められている厳しいセキュリティ要件に対応する包括的な組込みセキュリティ機能を提供します。
- 安全性:VxWorksは安全性を考慮して開発されています。厳密なテストにより、特定業界で求められる厳しい安全認証基準を満たしています。