2022 DSP Leaders World Forumで語られた通信業界の新しい展開 - Part 2

Sep 08, 2022 通信

ウインドリバーの最高技術責任者(CTO)、ポール・ミラーが、英国ウィンザーで開催された2022 DSP Leaders World Forumに参加し、5Gコアのロールアウト やvRANなどに関する質問に回答しました。本ブログ内容は、ホストであるTelecomTV編集ディレクターのレイ・ル・メイスター氏との対談のハイライトをご紹介します。2部構成となっており、今回はパート2になります。また、DSP Leaders World Forumのディスカッション動画はこちらからご覧いただけます。またパート1のブログはこちらからご覧ください。

レイ:ウインドリバーが通信事業者と取り組んでいる分散型アーキテクチャは、新しいサービスの導入を加速していますか?新サービスや新機能を市場に投入するプロセスを加速させるのに役立っていると考えていますか?

ポール:はい。特に、いくつかの通信事業者と共同で取り組んでいる分散型アーキテクチャでは、新しいサービスの市場への導入を加速しています。過去5年から7年の間に、サービスの革新、創造、提供は、ソフトウェア定義型の環境ととても密接になりました。これは大きな変革です。

興味深いことに、我々は、ネットワークのエッジにおけるO-RANとクラウド化の間と、ネットワーク全体とで、2つの異なる視点から会社を見ています。このクラウドネイティブなアプローチや高度に自動化されたアプローチでネットワークに迅速にデプロイする機能は、サービス開始の機敏性を高める上で、重要な要素であることは間違いありません。また、ウインドリバーがソフトウェア製品を提供している、製造業、エネルギー産業、航空宇宙・防衛産業、自動車産業などの分野でも同じようなことが言えます。しかしこれらの分野は、サービスプロバイダとは全く異なります。

現在、マシンエコノミーに対応できるインテリジェンスシステムを構築するには、サービスプロバイダと連携し、パブリッククラウドサービスを包含するエンドツーエンドのソリューションを構築する必要があります。ネットワークのエッジで機械学習を行うAIアルゴリズムや、自動化環境を提供するプライベートネットワーク内のシステム間の接続性などが例としてあげられますす。サービスのイノベーションは、そのようなランドスケープ全体にわたって起こる必要があります。

また、この新しい、高度に地理的に分散したソフトウェア主導の環境に移行するには、自動化とAI機能を追加することが非常に重要だと考えています。私たちは、人間一人では理解できないようなシステムを構築し始めています。これらは非常に複雑なシステムであり、サービスプロバイダが管理・運用できるようにするためには、高レベルのソフトウェアや自動化、サービスデプロイメントの簡素化、日々の運用が必要です。これはすべて、監視とデジタルフィードバックループの機能につながります。例えば、ネットワークの停止が発生する前に、ネットワークのエッジからデータを抽出ことができます。停止が起こることを予測、回避することができるようになるはずです。AI、機械学習、アナリティクスは、ネットワークの運用面において重要な要素です。

最後の課題は、サービスプロバイダは常に意識していないことかも知れませんが、最新のソフトウェア開発方法によって、DevSecOpsツールチェーンにアプリケーション構築機能を持たせることです。サービスプロバイダは、ソフトウェア機能のデプロイメントと運用を担うオペレーション側になります。

ソフトウェアの機能は、誰かが作成する必要があります。特にCI/CDやアジャイル開発といった最新の手法では、これらのサービスをシステムに継続的にデプロイおよびアップデートしようとするため、そのサービス作成に関連するものが必要です。そのため、開発と運用を関連づける最新のDevOpsツールチェーンがあれば、これらのサービスを作成するための広範なソフトウェア定義型の環境を入手することができます。

レイ:通信事業者やそのパートナーであるベンダーが研究開発費を増やす根拠はありますか?それは最終的に収益の増加につながりますか? 今すぐ研究開発を強化するビジネスケースはありますか?

ポール:通信事業者とそのパートナーであるベンダーの研究開発費の増加には理由があります。消費者向けデバイスへのカバレッジを高めたいという願望は常にあります。サービスのイノベーションと研究開発の多くは、サービスプロバイダにとって新たな収入源を創出するためのものであり、顧客の問題を解決するための革新的で斬新なサービスを生み出す方法を見出そうとするものであるからです。

自動車、ロボット、製造業は、通信事業者にとって新たな収入源となります。もしそのサービスが革新的で、顧客の問題を解決し、市場に提供できるものであれが、そこから新たな収益を生み出すことができます。もし、研究開発に投資せず、革新もせず、顧客の問題を解決する一連の技術に基づくそのサービスを作り出さなければ、収益を生み出すことはできません。

先進的な研究開発、サービスのイノベーションの正当性は、常に収益の創出と結びついています。その一つは利益にあります。また、解約からネットワークを保護するために革新を続ける収益の保護もその一部です。新サービスと収益の創出を中心に考える必要があります。

パート1の記事もぜひご覧ください。